Leaf arabesque

母の貸し農園で、作業を手伝う。鍬で土を耕すとたくさんの虫たちが掘り起こされる。「こっちへ来ないでよ」と念じる。彼らも迷惑そうに慌てて逃げていく。「虫たちにとってはあなたの方が怖いのよ」と母は言う。なぜか虫たちはいつも私に寄ってくる。これは大げさでも何でもなく、本当にこちらへ向かってやってくる。そういう訳で私は虫が苦手だけど、最近は以前より平気になったと思う。
植物が生きようとするたくましさには、いつも驚かされる。太陽に向かって伸びていく貪欲さ。ただただ上に向かって伸びていく、生命力の強さ。インスピレーション。あふれる生命感、地に足を付けた繊細な模様を表現したい。私の好きな渦巻き、そのエネルギー。6角形の図案。陰陽を表したかったから葉の形を勾玉にした。光と影のように、互いの存在になくてはならないもの。相手があってこそ、自分も成り立つ存在。
もし昆虫がこの世界にいなかったら、この豊かな生態系は成り立たない。10代の時にレイチェル・カーソンの沈黙の春を図書館で借りた。衝撃的だった。難しくて何度も読み返した。どんなに小さな存在でも(例え忌み嫌われていても)、存在しているからこそ地球に生態系という豊かな自然が存在するのだと。
耕した土の上にぼんやりと座っていた。風が吹いてきて私の髪の毛を揺らした。その瞬間私は透明人間になった。不思議な感覚。自分の身体がまるで存在しないような、身体の中を風が吹き抜けていくような心地よさ。トマトやなすと同じ魂を、確かに共有していた。私は今ここにただ存在している魂。
「私の中にある生命力の強さ」を信じる。模様に込めたメッセージ。

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